夢の実例

職場と粉雪の夢 2016.08.10掲載分

夢主 Kさん(50歳女性)

職場にいる。実際の職場とは作りが違う印象。こまごましたものが散らかっている。

急にお客様が訪れたが、取り繕うこともなく、慌てず、そのままでお迎えした。お客様は散らかった周囲を気にもしていないみたい。いつも気を配っていたけれど、そんなものなのかなと思った時、室内だったのに白いものがちらちらと落ちてきた。上を見る屋根がなく、半分が外になっている。チラチラ舞っていたのは雪だった。

屋根がなくなった外の景色は広大な山。子供の頃見ていたアニメの「アルプスの少女ハイジ」に出てきそうな場所。もしかしたら本当にアニメだったかもしれない。

夢解き

Kさんはいわゆるキャリアを積んだ方です。夢の中でも「職場が散らからないように気を配っていた」と仰るように、自分たちの事情や未熟さが影響しないように、お客様第一に接客をしてこられました。

けれどこの頃、今までしてきたポリシーや配慮が、「それほど大切なもでもないのではないか」と片付けられるような出来事を経験しました。

ご本人は、「お客様の層が変わってきたので、お客様側からしても、スタッフ側からしても、大切にしたい事柄が変わってきたのかもしれない」と感じているそうです。そしてそれはKさんの仕事への動機付けを失わせるものだそうです。

この現状がそのまま「散らかった職場」や「それを気にしていないお客様」として夢に現れたています。

そこにチラチラと舞い始めた雪。雪には一新や純粋などの意味もありますが、「冷え込んできたと思ったら雪がちらつき始めた」とか、「初雪が降り、冬が始まったのだなと確認する」というような場合もあります。

また、プロジェクトの進行状況や人生そのものも四季に例えられることもあります。又、仕事内容や定年年齢など、それぞれの状況にもよるもしれませんが、職業人としても、例えば、20代は春かもしれませんし、30代が夏、40代が秋、50代は冬だと捉える人もいるかもしれません。

Kさんは、初め雪を見た時は、もの悲しい気持ちになったそうです。けれど屋根がなくなっていて、更に山に降る雪なら、美しくなるかもしれないと思ったそうです。

「現職」だけの人生を考えれば、今の世の中の流れは、今までのKさんのスタイルに終焉を突きつけるのかもしれません。けれどそれは「閉ざされた小さな職場内」の話です。

天井や屋根は雨風をしのいでくれる「護ってくれる存在」でもありますが、同時に「頭打ち」「制限をするもの」でもあります。

夢の中のKさんは感情とは別に職務を果たしながら、「アルプスの少女ハイジ」のような壮大な山を観ています。彼女が「仕事は仕事」として、それ以外で子供の頃からの夢や、好奇心を満たす時間を過ごすことを考える必要があるのかもしれませんし、もしかしたら転身の可能性もあるのかもしれません。

と、そこまで話をした時、Kさんはもう一つ、アニメについての連想を浮かべました。それはこの頃流れているそのアニメを使っている家庭教師のCMでした。

そして、どうやらそれが答えのようでした。「勉強し直したいことがある」という強い想いがしっかり立ち昇ってきたそうです。それはただぼんやり思い浮かべていた時よりはっきりした望みだと自覚したそうです。

この理屈ではない心の動きこそ、夢からメッセージの醍醐味です。

終わらないものはありませんが、終わるからこそ、次が始まります。それを教えてくれるKさんの夢でしたが、同時に、「時代の流れを嘆きかけていた彼女」が、時代の流れを造るメディアによって「オリジナルのイメージを変えているCM」が鍵になった夢を見ていることが、面白いと思える例でした。


部活の夢2016.02.26掲載分

夢主 I子さん(47歳女性)

ホールの控室のような場所。高校生のような集団の中にいる。ブレザー姿の制服を着た20人くらいの集団。私は今の大人の自分で、私服。

場面がホールの会場や体育館の階段のような場所になっている。集団は合唱コンクールに出場しているコーラス部なのかもしれない。他校の生徒も別の所にいるらしい。

私が行動を共にしている人達が歌いおわった。私は見ていたのだが、もう一人いた、制服ではない誰かに「今の歌は小学生が歌っていたのをテレビで見た」と小さな声で話す。小学生が歌うレベルの楽曲だと、少し馬鹿にした気持ちで言ったのだと思う。すると制服を着ている女の子が私に「そうなのよ。小学生も歌っていた歌よ」と静かな口調で言った。私は馬鹿にして皮肉ったのを聞かれたことの気まずさと、「それは事実」と相手が認めていることに、自分の方が恥ずかしい気持ちになった。実際、別に馬鹿にするようなことでもない。

しばらくして煙草が吸いたくなったので灰皿を手にして、外で吸うために皆でいる室内を出ようとした。別の女子高生が「このままそこで吸っていいよ」と、声を掛けてきた。誰も私の事や動きを見ていなかったように思っていたのに、少しびっくりした。

私は「でも(みなさんは)高校生だから、迷惑かけるだろから」と言うと「みんな吸うから大丈夫。あそこにも灰皿はあるし」と指をさして示した。「じゃあ遠慮なく」と応えて私は煙草を吸って一息ついた。

その後、別の学生から「移動するよ」と声を掛けられて、着いて行った。

皆、お互いも大げさに笑ったり盛り上がったりもしないし、何か話しているのかどうかも解らないし、そっけない表情だったりする。それに私の事を観察しているようにも見受けられないのに、私が何かしようとしたり、何かを思うと、声を掛けてくれたりする。でもそれは、恩着せがましくもなく、淡々としている。彼らもお互いにバラバラに座っているようでいて、何となく同じグループのような動き方をする。若いのに、皆、人間ができていると思う。力みなく、ただ自然にそうしている。

夢の背景と夢解き

「どうして人に優しい気持ちになれないのだろう」「どうして他人に何かをしてあげようとか、少しくらいの労力をかけて手助けしようと思わないのだろう」「何か差し入れや贈り物をした方が良いなと思う時、お金を使うこともけちる気持ちになるのだろう」等々。このところのI子さんが自問自答する事柄です。

実際には、I子さんは、これらの思いが表に解らないように、人ともうまくやっていました。現実的には問題はありませんでした。

ただ、何かにつけて、例えば「私がやってあげなくてはいけないの?どうせそんなに感謝されるわけでもなく、当たり前のような顔をされるのに。ここまでならいいけれど、これ以上は冗談じゃないわ」とか「この前お土産を頂いたから、今度はこれくらいはお返しをした方がいいだろけれど、勝手にくれただけだし、私が何かを選んだからと言って、どうせすぐ忘れるだろうし、それほど喜ぶようなものを選べるとも思えないし、面倒だしもったいない」などとかなりしつこく、また、強く思うのだそうです。

結果、そこそこの手助けや、お礼などをしたりはするので、周囲にはこの葛藤は伝わっていないだろうと思うそうですが、それにしても、自分の中のやり取りに疲れるし、何より、こんなことを想う自分が情けなく、自己嫌悪に陥るのも事実なのだそうです。

更には「こんな面倒な嫌な気持ちになるのも、周囲の人達の同調圧力のようなものや、裏表があるのに良い人ぶっている雰囲気が原因でもある」とイライラしたりして、尚更、周囲に何かをしてあげることが嫌になり、また葛藤が始まるという悪循環だそうです。そして疲れた時、「本当に私は人が嫌いだ」と思うそうです。

こんな思いは、以前はそんなに感じた事はなかったのですが、ここ1年ほどで急に強くなったそうです。

自分らしく生きられるようになるにつれ、心の中にそのままにしていた思いが大きく表れてくることは珍しい事ではありません。I子さんはそんな時期に差し掛かったのでしょう。そんな時に見たこの夢です。

夢から覚め、I子さんは漠然と、何かしら腑に落ちたと感じたそうです。そして過去の出来事が、思っていたよりも大きなトラウマのようなものになっていたことに気づかされたそうです。

I子さんは小中学生の頃、幾度か転校をしました。新しい環境に馴染むことに努力をした過去があります。

けれど特にいじめられたり、仲間外れにされた経験はありません。それはI子さんが一種独特の雰囲気を持ち、知性的で、孤高の人のようなイメージを醸し出す人だからかもしれません。

また実際に、一人でいることが好きで、群れることも嫌いな、芯の強い人であり、「私はそういう人。周囲にはいろいろな人がいたけれど、何もダメージを受けていない」と、ずっと思っていたそうです。

しかしそれは、もしかしたら、ある種の防衛であり、強がりだったのかもしれません。

転校してすぐの「新しい環境の中で見て見ぬをふりをされながら、実は観察されて、仲間に値するか否かを品定めされているような時間」や、「初めのイメージが大切だから、付け込まれないように、しっかりした雰囲気でいることに気を付けた時間」等は、思うよりI子さんに緊張を強いていたようです。

周囲の目にさらされたり、「その中で戦うような気持」は、いわゆるトラウマのようなものになっていたのかもしれません。はじめての転校が低学年だったこともあり、適応していくことに一生懸命で、自分の状態や感じ方等についての意味を処理しきれずに、その後はその方法を続けていただけなので、経験を整理して語れる所まで昇華されていなかったのかもしれません。

夢の中でI子さんは、独り大人です。子供のままではありません。制服や部活というのはI子さんにとっての学校社会や集団をイメージする物だそうです。I子さんは、今やっと、その頃のことを客観視できるようになったのでしょう。

無意識的に、或は条件反射的に「いじめられまい」「なめられまい」として、防衛や攻撃で先手を打っていたI子さんは、容易に周囲を信頼することはできなかったでしょう。また、逆に、生き生きとした感情を押し殺している「正直ではない、集団の中での自分」のことも信頼できなかったのかもしれません。又、周囲で起きていることには敏感ですが、自分が不安な分、自分の身を護るための目線=主観でしか状況をとらえていなかったかもしれず、ありのままの事態が理解できていたかどうかも疑問です。

けれどI子さんが経験から認知している「集団」とは別に、夢の中のコーラス部員たちのように、同調圧力は加えないのに、さりげなく見守ってくれる集団もあるでしょうし、そんな方法も可能です。今のI子さんは、それを知っています。I子さんは夢の中のようにして迎えられたかったのかもしれませんし、今の自分は、そんな方法を取ってもよいのです。自分を大きく見せるために彼女たちを馬鹿にするような発言をしなくてもよいのですし、大人である今は、適度な距離を持ちながら、自分の居場所を守ることも可能なはずです。

防衛により、まず緊張し、余計なストレスを自分に掛けなくても、自分の身を守れますし、嫌ならそこから去る自由も行動力もあります。自分に掛けるストレスが減れば、周囲に転嫁した怒りも減ります。

又、「煙草を吸うというマイナスな面(I子さんの連想から)」があっても、「皆ある程度はマイナス面もあるのだから、迷惑ではないよ」と受け入れながらも、I子さんを自由にさせてくれています。

I子さんが「人が嫌いだ」と思っていたのは、転校時のその時々の人達であり、今、目の前にいる人達は、当然ながら、彼女彼らと同じ人達ではありません。長年、特にトラブルもなく、上手く渡ってきた分だけ、当時の彼らへの怒りや恨みが未消化だったのでしょう。また「これを認めると、自分が彼らに負けたことを認めるようで避けてきた所がある」とも自覚なさいました。

この頃の強くなる思いは「消耗し、傷ついたがゆえに、怒りを抱えていた当時のI子さん」が、表に出ようとしていたのでしょう。

I子さんは「だからどうしたらいいのかなどは、まだ解らない」と仰います。しかし「実は、自分の中に押し込めていたもの」があり、それが表に出てきてくれて、「自分が思っていた物とは違うもの」を見つけました。ともあれ、最近の想いの源は解ったとおっしゃいます。

この後、徐々に認知が変わっていく出来事が起きたり、自身がさらに発見していく事が増えていくでしょう。想いが昇華されるのは時間の問題でしょう。

怒る夢 2014.08.07掲載分

夢主 Yさん(47歳、女性)

現実とは少し違う人達だった印象だが、会社の人達20人くらいで飲食店に入った。 入口で皆、貝のようなものを10個ずつ渡される。けれど私だけ少なかったようだ。 私は 黙っていたが、イライラしていた。

その後、店の奥に案内されると、カウンター席が大きな菱形になっていて、皆でそれを囲む。 しかし店員が私に示した席は、角にあたり、無理やり椅子を入れ込んだような形だった。 他の残り3つの角はあけてあるのに、私だけそこにあてられ、他の人ではなく 「ここが貴女の席です」と言われる。

上司の男性が、「違う席を用意してあげてくれないか」と交渉してくれたり、 同僚も「こっちに詰めたら大丈夫で大したことじゃないのではないか」と提案をしてくれる。 けれど店員が頑として譲らない。私は店員にとても怒って、「じゃあ、帰るからいいです!」と 店員をにらみつけると「そうですか」と無関心な対応。私は店を出ながら店員に、何か罵る言葉を怒鳴った。

買い物をしようとスーパーに入る。するとそこでも失礼な店員が見下したよ うに私にだけ、何かさせなかったか、先と同じような状況の展開があった。詳細は覚えていない。目覚めた時、何ともむなしく、がっかりした感じがした。

夢解き

怒る夢は、内側に抑圧したエネルギーの発散や認識、また現実で本当に怒っていたことをさらに整理するために現われる場合もあります。しかしYさんには、誰かに対して怒ったり、不当な扱いを受けているという現実もありませんでした。

しかし夢の前日、気持ちがモヤモヤする出来事がありました。Yさんの同僚が、社内で奨励されている資格試験に合格したそうです。

Yさんは、日常の業務が忙しく、資格取得の勉強時間までは取りたくないと思っていました。また資格があるなしではなく、実際にできていればいいはずだとも思い、ずっと受験を避けてきました。Yさんは、職場では期待されている中心的な人物です。合格した同僚とは仲はよいものの、Yさんよりは実力は下だと感じていたので、資格試験に挑むと聞いて、大丈夫かなと心配していたそうです。

率直に認めるならば、会社からは早めにとっておいた方が対外的にも有利だからと勧められている試験を先送りにしてきた自分に対して、落ちるだろうと思っていた、自分より仕事ができないはずの人が合格したという事実、に複雑な気持ちだったそうです。

ただこれはYさんの人柄ゆえのことだと思いますが、彼女は単に同僚に嫉妬したわけではなかったようです。「同僚のことを、自分より下だと思ってしまっているような自分」「もしかしたら落ちることやそれへの労力をかけることに耐えられないかもしれないと回避しているだけなのに、仕事や日常を言い訳にしているかもしれない自分」にがっかりしたそうです。

恐らく、夢の中で、彼女は自分を罰したのでしょう。夢の中で渡された貝のようなものは、スキルはじめ自分の「財」を示すものでしょう。資格がなくても社内では全く問題なく、合格した同僚らとも仲良くやっていますし、上司にもかわいがられているYさんなので、独り不自由な席でも仲間は何とかしようとしてくれます。けれど本当の自分の心を知っている店員は、容赦しません。

みんなで丸く囲む形なのに、菱形の角があったのは、Yさんの考え方にどこか紋切型だったり、柔軟性がないことを指しているのかもしれません。

初めの店の中でのことが職場でのことなら、次の買い物のシーンは私生活でのYさんを示すのかもしれません。同僚を下にみるような、職場での自分の反応も、私生活での性格も同じことなので、今度は自分が見下される立場として、いかに自分の考え方が嫌なものかを体感しています。

こんな自分の思考パターンは嫌だなと感じていることを、改めて認識させてくれる夢です。「資格などどうでもいい」と拒否していたことも、もしかしたら資格を有することに固執した気持ちの裏返しだったのかもしれません。心の奥で、実力が上だ下だと線引きしているのも一面だけを見た独善的な決めつけの1つかもしれません。Yさんは、「そんなことにこだわらない、自由な発想ができる自分でありたい」とおっしゃいました。

目覚めた時の虚しさとがっかりした感じは、そうなれない器の小さい自分に対しての思いだったのでしょう。

よく皆様に申し上げることですが、「本気で変わりたい」と思ったその時点で、8割方変わっています。後の2割は「新しい自分への慣れ」と「練習」です。嘘だと思ったら試してください、多くの方がこうして変わっていった現実を見てきていますから、本当ですけれど、と、声を大にしていいたいことでもあります。

Yさんも、自分を罰している心のありようを体感するのは夢の中で終わりにしました。自分で自分にストレスをかけてむしろ退行し、過去の自分のやり方を正当化したり、逆に否定しすぎたり、余計な葛藤は、もう無用です。現実のYさんはこれから、「こうなりたい!」と思っていれば充分です。そして、時に、「まだそうなれない自分」がいても、「まだまだ練習中、次はもう少し上手くできたらいいな」と思って反復していけば、あとは時間の問題、結果的に早道です。

うるさい犬の夢

2014年3月掲載分

夢主 Aさん 34歳・女性

近所の飼い犬が吠えていてうるさい。静かにさせるように注意しにいく。 その家のドアの前まで行き、思わず怒鳴りかけたところで目が覚めた。

夢解き

実際に最近、ずっと鳴き続ける犬が近所にいて、気になっていた夢主です。 しかし起きてみると、犬の鳴き声は聞こえません。よほど気になっていたのだろうと思い、再び目を閉じると、つい耳をそばだててしまったそうです。すると、ずいぶんかすかに鳴き声が聞こえます。空耳や、そんな気がするだけかなと思いましたが、実際に、聞こえるか聞こえないか程度でしたが、確かに犬の鳴き声がしていたそうです。

夢を見ているレム睡眠時には、このかすかな音が、とても大きく聞こえるようなことがよくあります。例えば、眠っている時に、ベッドからほんのわずかに手足が下に落ちただけでも、急降下した夢になったりするようなことも同じ種類の状態だと思われます。

また睡眠中に、体の一部の痛みがとても大きく感じ、激痛で目が覚めると、ちっとも痛くないので不思議に思ったけれど、実はそれが早期発見につながったような場合もあります。リラックスと同時に、非常に研ぎ澄まされた状態でもあるので、たくさんの情報を知らせてくれるようです。

また夢主の場合は、夢の中で感情的になり、怒鳴り込んでいこうとした疑似体験をした分、現実ではかえって冷静になり、その後、あまり気にならなくなったという作用をもたらしたようでした。

暖かくなったり、また寒波が戻ったりと変わりやすい気候が続いていますが、桜の開花宣言も伝え聞く頃になりました。春眠暁を覚えず、の季節です。春先は、たくさんの夢が訪れますが、単純に現実に見た事の再現であったあり、デフォルメであったり、深い意味はないものも多くなります。 季節の変わり目、体調に留意いただき、夢解きにこだわらず、ただ楽しんでいただければと思います。

スマートフォンを探す夢

2013年7月掲載分

夢主 Hさん 40歳・男性

スマートフォンのカバーを取り替えようとしてはずし、今までつけていたものを捨てる。

でも次の瞬間から 、スマートフォンも見当たらなくなる。一緒に捨ててしまったのかと、慌てて探すがゴミ箱 にはない。場所は自分の部屋に似ているが、雑然としていて違う場所。

後輩のような20代前半くら いの男の子が一緒にいる。私は、彼の携帯から私のスマートフォンに電話を掛けて鳴らして欲しいと彼に頼む。すると彼は「電話代がかかるし、俺は関係ないじゃないっすか」と渋る。 「電話代は私が払うから」と、面倒くさそうな彼を説得して掛けてもらう。電話は鳴っている。でも自分の体からなっているように聞こえる。服のポケットなどを探すが、どこにもない。

場面は古い日本家屋に変り、今度はそこで探している。酷く散らかった部屋。 その家に住む女性が現れる。上品な女性で、探すのを手伝ってくれる。

つめえりの学生服が壁からぶら下っていて、そのポケットも探す。その中には自分がいつも使っている煙草の道具が入っていた。女性から、「それは弟のものなので、ちゃんと 同じ所に戻しておいてくれないと、叱られてしまうから」と注意される。弟という人は、自分の習慣を邪魔されると、とても機嫌を損ねるそうだ。先の後輩の男の子もいて一緒に探してくれるが、見つからない。

そこで目が覚めたが、夢との間にいるような感覚。しかし枕元には、実際に夢で探していた自分のスマートフォンがあるのを見て、「あった!よかった」とほっとする。そ して、すぐに一緒にさがしてくれた彼らに知らせて御礼を言わなくては、と現実のように思う。たぶん、そのまままた眠った。お礼を言えたかどうかわからない。

夢解き

Hさんにとってスマートフォンは、「なくてはとても困るもの」「スケジュール管理やデータのやり取り、様々な記録、地図や音楽、メモ等、自分の代わりに記憶をしてもらっているようなもの」だそうです。

彼は、職業柄かなりスマートフォンやタブレット端末を活用している 、この手のものにとても強い方です。それだけに、「少し大げさかもしれないけれど、自分の公私共のデータも含めて、頭脳をコピーしている分身のようなもの」とおっしゃいます。

その「スマートフォンのカバー」=自分のカバー=「外の世界に向けた顔やイメージ」 といえるでしょう。カバーは、デザイン性などで自分の個性を示すものであり、さらに本体をショックから守るものであることから、より「自分へのダメージを避けるための個性にみせた鎧」のようなものかもしれません。

Hさんはそれを「変えよう」としました。けれどそれを外してしまうと、本体である自分自身もなくなってしまうような気がしているので、本体も見失います。 しかしそれは自分の体から鳴っています。したがって、本当は、外に向けた顔も、本来の自分も、自身の中にあり、既に一体化しているのだから、自分をどう打ち出そうか、或は、どう守ろうかと悩む必要はないようです。

けれど、それを阻んでいるのは、夢の中には姿としては出てはきませんでしたが、「弟」の存在なのかもしれません。 「自分の習慣や一度設定した物事を邪魔されると、とても機嫌を損ねる傾向」は、Hさん自身のものだそうです。それは不意の出来事に驚いてしまったり、怖いから抵抗したい反応であることにも、Hさんは気づいています。

この傾向の強まりは、Hさんが「学生服を着ている頃」に経験した生活上の変化などによる影響もありました。

その後、Hさんが夢に出てきた「後輩男性の年頃」になると、今度は、神経質なことが格好悪いと感じ、逆に 何事をも「どうでもいい」「面倒くさい」という鎧まとうことで超えたこともあったそうです。しかし Hさんはすでに、面倒くさがる自分と対話することができます。動いてくれるように説得もで きます。

また「お姉さん」は女性ですが、Hさんの側面です。非常に繊細で、女性的な神経のこまやかさや、創造性を表しているようです。そして男性性特有の「秩序を守ること」や「それから外れるものは切断する」ような白黒つけた厳しさではなく、中庸を図ったり、曖昧だったり流動的なものも、そのまま包含する母性的な面を担当しているようです。彼女は、時々顔を出す「弟」の癇癪を、 なだめてくれる、Hさんの中に生きる人物です。

これは、Hさんの中の様々な側面が人の形となり登場し、Hさんに協力をしてくれている夢です。

多重人格という症状があります。もちろん、Hさんは異なりますが、「主になる人格」が「夢の中のHさん本人」であり、それぞれの人格が独立しているように感じられたので、夢うつつの時に本当に「報告をしたかった」そうですから、形は似ていたのかもしれません。

そして、恐らくHさんが得た「新しいカバー」を付けた本体=「彼自身」は、彼の中の皆が、ともに模索して探してくれたものであり、Hさんにとっては心強いものであり、嬉しいことだったのでしょう。したがって、今後は問題行動の要因になりうる「弟」をフォローすることも案外簡単なのかもしれません。

最後に余談ですが、昔はスマートフォンはもちろん、携帯電話もありませんでした。夢解きも、せいぜい「電話」であればこんな意味合いがある、という程度です。正直なところ、今回の夢の象徴は「新しい!けれど普遍的!」と何だかうきうきしました。

夢解きの歴史は長く、その時々で、それへの解釈が生まれてきたことでしょう。けれどどんな時も、まずは自分にとって、それが何を意味するのか、を考えれば、夢辞典に出ていないようなものでも、解きほぐせます。 オリジナルを大切にして、自分の夢辞典をつくりながら、夢との付き合いを楽しんでください。

主人の模様替えの夢

2013年4月掲載分

.夢(Yさん 42歳 女性)

私は寝室で寝ている。主人は既にベッドを出ている。部屋の外が騒がしいので出てみると、主人が自分の書斎の模様替えをしている。随分大掛かりで、殆ど引越しに見える。

彼の若い頃の後輩や仕事仲間が一緒に手伝っている。中には私が今まで見た事がない家具類もあり、私が「こんなのあった?」と尋ねると「今までの置き方だとここが見えなかっただけだよ」と主人が答えた。白い木製の、機能的だけれどユニークな形で、温かみがある整理棚だった。とてもすっきりした素敵な部屋になりそうでいいなと思う。

けれどすぐに「彼の仲間がいるのに、私はパジャマのままだし、もうお昼近いのに一人だけ寝ていたことが解かるので恥ずかしい」と思う。でも、私は休みたいのだし、彼らはそんなこと気にもせず片づけをしているようだ。私はもう一度寝室に戻って、ゆっくりすることにした。

夢解き

この頃、Yさんの主人は、いわゆる人生の過渡期を迎えていました。仕事上の立場やスタンス、対人関係の癖、ひいては自分の生き方そのものまで、様々な事を悩み、心身ともに不安定な時が続いていたそうです。しかしこの夢の前日の彼は、何かすっきりした様子に映ったそうです。

夢の中の「寝室」は現実のその場所と同じく、休息を取り、エネルギーを貯える場所です。書斎は彼の社会的姿勢や感じ方そのものであり、居場所は変えずとも、中身のそう入れ変えのような模様替えをしています。それは彼が今のスタイルに合わせた、より心地よい状態に整えていこうと本腰を入れて動き出したことを示すのでしょう。

「若い頃の彼の後輩や、仲間たち」は、恐らくご主人の中にいる彼らであり、過去の自分の彼らへの接し方等への悔いやわだかまりがなくなったから、その時々の経験がむしろ手助けになっていることを表しているようにもみえます。 また、Yさんが見たことがないような家具も、実は「置き方」の問題で、以前からあったものでした。

そしてYさんが感じた「機能的だけれどユニークな形で温かみがある」整理棚は、ご主人が今までも自分の中にありながら、うまく活用できていなかった側面なのでしょう。近くでご主人の悩む姿を見ていたYさんはようやく彼がすっきりした良い状態になりそうだと感じたのでしょう。

しかしその後、Yさんは自分のことが気になります。この場面では体裁を考え、「彼に恥ずかしい思いをさせないようにしなくては」とも思ったそうです。けれど夢の中の彼らの様子を客観的に把握した後、自分の希望どおり、寝室に戻ります。彼女は休息を必要としていたのです。

家族やパートナーが心身のバランスを崩している時、近くで支える人には、多大なエネルギーが必要になります。特にYさんは、落ち込むご主人に、詳細を尋ねたり口を出したい所を我慢し、「いつも通り」を心がけて、黙って見守っていたそうです。

何も言わず、でも「行動では彼に見方をしたり、応援していく方法」は、実は具体的に口を出すよりはるかにエネルギーが必要です。ご主人が息を詰まらせていると、つい自分も同じように呼吸を止めてしまうようなことも増え、片方がバランスを取り戻した時に、支えていた側が疲れ果てるということもありうることです。

しかしYさんは、ちゃんと「私は休みたいから」と自分のコンディションも把握しています。ご主人の過渡期はご主人の問題であり、彼が片付けられているのだから、自分はゆっくり休もうと心の距離を保てています。

又、「ご主人が落ち込んでいたのは、Yさんが至らないせいではないこと」も、「Yさんがパジャマでも、昼近くまで寝ているようでも、仲間は気にもしていない」ということで把握しています。そして彼女もまた、ご主人の側にいることで同じ苦しみや悩みを体感していたのですから、しばらく「昼間で寝る」=「好きなように自分を休ませてもよい」と自分を許せたのでしょう。是非しばらくは、そうやってゆっくり過ごして頂きたいものです。

思い当たる所がない夢

2012年9月分より

Mさん(36歳・女性)

刑事が捜査のために海辺に来ている。そこへ女性が現われて彼らをどこかへ案内する。
私は傍観者のようにそれを見ている。特に何の感情もなかった。

夢解き

夢は半分以上は思い当たる所がないものの方が多いかもしれません。
しかし、Mさんは「それにしても、なんだか何の手ごたえもない感じが不思議だった」そうです。

彼女はこの日、少し寝坊をしました。ご主人は既に起きていました。彼女は夢の意味を考えながら、新聞を開きました。するとテレビ欄の刑事ドラマの粗筋に、同じようなものを見つけました。二人の刑事が海辺の町で事件を解決する2時間ドラマでした。Mさんは、随分小さな予知夢を見たものだと思ったそうです。

しかし彼女は、既に新聞が読まれた状態だったので、ご主人に読んだかどうかを尋ねました。すると、彼は彼女が寝ている横で、そのテレビ欄を読んでいたそうです。彼女はご主人が読んでいるそれを、その時一緒に眺めていたかのように、その場面を夢に描き出したのでした。

これは割と多いタイプの夢です。例えば、自分が体調を悪化させた夢を見ていたら、家族が体調を崩していたり、夢の中で夢主がとても悲しんでいたら、友人が失恋をして悲しんでいたというようなケースも同種のものです。寝ている間に無意識は物理的制約なく、自由にあちこち旅していますから、さまざまなものを受信します。今回のように他愛のないものもあれば、重要な知らせもあります。

私も自分とは違う環境の中、違う生活をしている夢を見て、突然眼が覚めることがよくあります。そんな時は、丁度その時間に送信されたご依頼のメールが入っていたり、その日に来所される方がそのイメージの生活をなさっていたりします。きっとその方たちが、深夜や早朝のその時間に、私のことを思い出したり、コンタクトを取ろうとしてくださったものを受信しているのだと思っています。これらは、自分に関する夢とはどこかしら感じが違うので、慣れてくれば、どちらを指す夢なのか解かるようになるでしょう。

またこのようなことがよく起こる人は、覚醒時も、人の感情や痛みを、心身ともに我が身に映すことが出来る人が多いように思います。これはさまざまな面で人生を豊かにしてくれなるこが多いものです。しかし、
人によっては、ある程度の距離を保ったり、ニュートラルでいるための心がけが必要です。混乱が生じる方は、瞑想や、無心に何かに没頭したり、体を動かす時間を取ってみてください。そして、これらの現象に
執着せず、ちっとも特別ではないことを今一度意識してください。

箱とビルの夢

2012年6月分より

Oさん(36歳・女性)

自分の部屋にいる。角部屋なので実際には窓が2箇所ついているが、夢の中では、南に向いている腰窓しかない。窓ガラスはなく、いい天気。外の景色がよく見える。

ふと部屋の内側を見ると、1辺が1メートル程のサイコロのような箱がたくさんおいてある。綺麗に並んでいるが、一部、曲がっている箇所がある。私は箱の上を、とんとんと順に叩いてみた。

場面が変わったのか、窓の外を見たのかもしれない。目の前にビルが3 軒くらい隣り合わせに建っている。その真ん中のビルが左端のビルにむけて傾き、寄りかかるようになだれ込んでいく。砂煙のようなものも出ているし、火の手が上がるのではないかと心配になる。寄りかかられた方のビルは軋んでいる。

夢解き

夢をお伺いして、まずOさんには、健康面に問題がないかどうかをお尋ねしました。ここ数日、首のコリや痛みと、頭痛がしているとのお答えでした。そこで、歯医者さんにみてもらうことをお勧めしました。すると、歯根や歯茎の状態が非常に悪く、1本の歯が崩れかかるように、隣の歯に寄りかかろうとしていたそうです。炎症もあり、文字通り「火の手が上がるかも」と心配した通りで、頭痛や首こりの原因もここにありました。

Oさんは、歯の調子が悪いとは全く考えていませんでした。けれど夢は、まさにそのままを教えてくれていました。意識では解からない状態でも、無意識は事細かに把握している例といえます。

夢に出てきた部屋は、Oさんの口の中です。腰窓は唇が開かれて外が見えている様子です。Oさんは自分の口の中にいたことになります。勿論、サイコロのような箱は「歯」です。更に、悪かった歯は左から2本目でした。3軒のビルは左端からズームされたような状態で彼女に症状を見せてくれています。

睡眠中に体の異変を感知することは多いものです。覚醒時には小さな痛みでも、夢うつつの中では激痛に感じられるようなケースも多く見られます。 これは、ほんの少しベッドから手足が落ちただけでも急激な落下をした夢を見るようなことに似ているとも思われますし、睡眠の手をかりて意識から離れている時は、非常に研ぎ澄まされた状態にもなるためでもあるでしょう。

無意識は何でも知っていてくれます。そこと簡単にコンタクトを取る方法である睡眠は、とてもありがたいものです。心と体、両方をよく休め、癒し、その状態をよく知るために、今日もゆっくり、おやすなさい。

箱とビルの夢

2012年6月分より

Oさん(36歳・女性)

自分の部屋にいる。角部屋なので実際には窓が2箇所ついているが、夢の中では、南に向いている腰窓しかない。窓ガラスはなく、いい天気。外の景色がよく見える。

ふと部屋の内側を見ると、1辺が1メートル程のサイコロのような箱がたくさんおいてある。綺麗に並んでいるが、一部、曲がっている箇所がある。私は箱の上を、とんとんと順に叩いてみた。

場面が変わったのか、窓の外を見たのかもしれない。目の前にビルが3 軒くらい隣り合わせに建っている。その真ん中のビルが左端のビルにむけて傾き、寄りかかるようになだれ込んでいく。砂煙のようなものも出ているし、火の手が上がるのではないかと心配になる。寄りかかられた方のビルは軋んでいる。

夢解き

夢をお伺いして、まずOさんには、健康面に問題がないかどうかをお尋ねしました。ここ数日、首のコリや痛みと、頭痛がしているとのお答えでした。そこで、歯医者さんにみてもらうことをお勧めしました。すると、歯根や歯茎の状態が非常に悪く、1本の歯が崩れかかるように、隣の歯に寄りかかろうとしていたそうです。炎症もあり、文字通り「火の手が上がるかも」と心配した通りで、頭痛や首こりの原因もここにありました。

Oさんは、歯の調子が悪いとは全く考えていませんでした。けれど夢は、まさにそのままを教えてくれていました。意識では解からない状態でも、無意識は事細かに把握している例といえます。

夢に出てきた部屋は、Oさんの口の中です。腰窓は唇が開かれて外が見えている様子です。Oさんは自分の口の中にいたことになります。勿論、サイコロのような箱は「歯」です。更に、悪かった歯は左から2本目でした。3軒のビルは左端からズームされたような状態で彼女に症状を見せてくれています。

睡眠中に体の異変を感知することは多いものです。覚醒時には小さな痛みでも、夢うつつの中では激痛に感じられるようなケースも多く見られます。 これは、ほんの少しベッドから手足が落ちただけでも急激な落下をした夢を見るようなことに似ているとも思われますし、睡眠の手をかりて意識から離れている時は、非常に研ぎ澄まされた状態にもなるためでもあるでしょう。

無意識は何でも知っていてくれます。そこと簡単にコンタクトを取る方法である睡眠は、とてもありがたいものです。心と体、両方をよく休め、癒し、その状態をよく知るために、今日もゆっくり、おやすなさい。

靴がない夢

2012年3月分より

Iさん(34歳・女性)

一晩に靴がない夢を2本見ました。

1. 趣味の仲間との集まりに参加する。場所は小さな集会所。靴を脱いで上がる。
会が終り、帰る人もいれば、残っている人もいる。私も帰ろうと玄関に行くと、まだ残っている人の靴がびっしり並んでいる。けれどその中に私の靴がない。誰かが私の靴を履いて帰っているのだと思う。

その人の靴を替わり履いて帰らなくては履く靴がないのだが、それがどれなのかも解からない。
私は引き返し、主催者を探し、「靴を履いて帰った人は、私の物なのに間違えているから、どうにかして欲しい」と訴えた。

2. 座敷タイプの居酒屋にいる。私が私でありながら、少し男性っぽい感じ。とても女らしい、やわらかな印象の女性を同伴している。外に出ようとすると、2人ともの靴がないので、店の人に尋ねる。
店員は友達でもあるようで、男性だがゲイのおねえ系。彼が「ここにあるわよ」と靴を出してくれた。

同伴の女性は「よかった、これ」と喜ぶが、私の靴は私のものではない。まっさらな白いシリコンのような素材の、綺麗で丈夫そうなズック。一部に濃い藍のラインが、凛とした感じで入っている。これはこれでとても美しいと思うが、私が履いていたものではないので「違うから探して」と言う。

すると彼は「そうなの?でも、もう、これでいいんじゃない?」と言う。私は「私のは茶色のサボのようなものだし、第一、白は汚れるから絶対履かないから」と答えた。

夢解き

靴は女性らしさや、自分の社会的地位、自分が属する世界でどのようなポジションであるかなどを象徴します。靴がない夢は、それらが失われているように感じたり、模索している時に現われやすいものです。

夢の前日、Iさんは、夢にも出てきた趣味のサークルで、少し考えること出来事があったそうです。サークルのリーダーが、今まではIさんを頼りにしていた物事を、別の人に相談していることを知ったそうです。
Iさんは「それはそれで構わない」と思ったものの、その別の人の方法はあまり望ましいとは思わなかったので、「人選ミスだな」と思っていたそうです。

「夢の中の主催者」というのは現実のリーダーの姿ではなかったそうですが、現実のサークルのリーダーに「私の物(仕事・立場)なのに、(その人)が間違えている(入れ替えてしまった)から、どうにかしてほしい」と言いたかったのかもしれません。

しかし同時に、そんなことを考えている自分についても、あれこれ考えたそうです。
例えば、Iさんは頼まれれば引き受けますが、そうでないものには敢てお節介は焼きません。でもそれはもしかしたら「一歩踏み込めないマイナスな性格」なのかもしれない、とも考えたそうです。

良くも悪くも人の領域に入り込み、世話を焼くのは、「女性性」のなせる業です。勿論行き過ぎれば、相手を依存させて自立を阻むマイナス作用もあります。その点ではIさんは、男性性をしっかり持って、ビジネスライクに物事を処理できる人でもあります。けれどもう少し、女性性を発揮した方がよいのかと考えたのでしょう。

2つめの夢では、「やや男っぽいIさん」と「女性らしい連れ」が出てきます。
これは2人で1人=Iさんを示しています。Iさんは、非常に繊細な女性らしさを持っているからこそ、外では男性性を発揮し、それぞれの領域を守っています。しかしそれは行き過ぎれば「自分を守る鎧」にもなっていたのかもしれません。「このバランスは、今のままでよいのか?」と考えたから見た夢といえそうです。

男性でありながら、女性でもある「両性具有」のゲイの彼が、今後のあり方を示しているのかもしれません。彼が教えるのは「自分のものではない靴も履いて見たらどう?」ということでした。

「白い靴は汚れるから履かない」というのは「感情が左右されたり、自分が守りたい自己理想像を汚されることを嫌う」ことなのかもしれません。また、同時に白が持つ「潔癖さ」を暗示しているかもしれません。
でも、始めから拒絶するのではなく、そんなに身構えずとも「いろいろな靴(社会の中での人との関わり方や立場)を試してみてもいいのではないか」と気づき始めていたようです。

純粋さや真実を表す「白」は、汚されやすいかもしれませんが、その靴には「凛とした藍のライン」があります。藍色や「精神性や神仏の守護」などの意味もあります。「守られている自分」「そんなに弱くない自分」を信頼して、「もう少し人に踏み込んでみても大丈夫。出来るよ」と教えているようです。

同じ夜に見る夢は、内容が違っていても同じモチーフが多いものです。しかしIさんのように、状況だけが違って、靴を探すという同じ象徴を続けて見るのは、私が見てきた限りは、案外多くはないように思います。それだけ一生懸命、心と頭を整理していたのでしょう。

夫を怒る夢

2012年1月分より

Jさん(48歳・女性)

自宅で主人に向かって怒鳴っている。部屋がごちゃごちゃ散らかっているような印象もあり、足元をとられたり、邪魔される感じがあり、それが主人のせいだと、かなり怒っている。
「出しっぱなしでやりっぱなしで誰が後始末して迷惑すると思ってんのよ!」と怒鳴っていた。

夢解き

夢主はご主人との関係もよく、最近特に彼に対して怒るような事も、不満をためているような事も思い当たりません。そのため「これはもしかしたら、自分がご主人以外の事への苛立ちを抱いていて、それを一番言いやすいご主人に当ることで発散しようとしている夢かな」とも考えました。けれど八つ当たりをしてご主人を傷つけるくらいなら、話を聞いてもらう関係性なので、それも少し違うのではないかと思いました。

しかし夢は、思わぬ時に解けました。
上の夢を見た翌日、夢主は夜中に、ご主人のいびきで起こされました。 折角寝付いた所で2度、3度といびきで眼が覚める最中、覚醒していく夢うつつの中で、とても腹が立ち、昨日の夢の怒りを抱いて目覚めていることを自覚しました。そして、そういえば、昨日も再三いびきで起こされていた事を思い出しました。

覚醒時、意識上では、ご主人のいびきはわざとではないと解かっていますから、枕の位置を変えていびきを鎮めてあげたりする夢主です。しかし意識の制御がない時には、本能である睡眠を邪魔され、かなり怒っているようだと気づきました。「(音を)だしっぱなし、(好き勝手)やりっぱなし、誰が後始末して迷惑すると思ってんのよ!」まさにこの気持ちだったそうです。また、部屋がちらかっているような感じは、夢が切れ切れで終わらされる不快感と似ているそうです。夢主は、早速 翌朝、この話をご主人になさり、二人で枕の見直しを始めました。

睡眠時に起きていることが夢に現れる一例です。

煙草を吸う夢

2011年8月分より

Mさん(46歳・女性)

煙草を吸い「あら、もうやめて長いのにすってしまってもったいないことをした」と思う。

夢解き

前回同様、夢を解く際には、一般説だけを当てはめたり、個人の状態を無視しての断定は避けていただきたいものとしての実例です。同じものが夢に出てきても、本人だけの意味がある「夢主だけの夢辞典」はたくさんあります。

Mさんは15年間の喫煙後、ぴたっとやめて既に10年以上たちます。勿論、現在煙草を吸いたいとも思いませんし、むしろ周囲で喫煙をされていると、その煙を気持ち悪いと感じます。しかしそれでもMさんはたまに、喫煙をする夢をみます。「吸いたいと思っていないのに、なぜだろう」と、随分長い間考えていました。けれどそのうち、その夢の前日には、いつも共通の出来事があることに気づきました。

例えばある日は、歯の痛みに耐えかね鎮痛剤を飲みました。また別の日は、新しいお香を試した所、煙の上がり方がひどかったそうです。また違う日は、ショッピングモールに出かけましたが、丁度冷房が入り始める頃の季節で、流れてくる風が誇りっぽく、嫌なにおいや空気を吸い込んだと感じていました。

お解かりのように、自分の体の中に、Mさんがよくないと思うものを吸い込んだり、取り入れた夜に喫煙の夢を見ていました。これは「実際に負担をかけたよ」と夢が知らせてくれる場合もあるかもしれませんが、Mさんは、周囲からの刺激にやや敏感な人でもあるので、逆に「喫煙程度だから気にするな」とバランスをはかっている場合もあるようです。

一般的な煙草の意味としては「男性的エネルギー」「不必要で害があるもの」「大人にとってのおしゃぶりで、依存やストレス解消を求める場合」などがあります。また、煙が気になる際は、「自分が悪感情やよくないエネルギーを振りまいている」或いは、「周囲のそれらにまとわりつかれていて、煙たいと思っている」場合などもあります。

喫煙者が夢の中で煙草を吸う場合は、日常的なことなので、習慣と夢のどこが違うかに着目してみるものよいでしょう。また、リラックスの必要性や「肺がんなど病気を心配している」などを暗示する場合もあります。

ただ、これらをいちいちMさんに当てはめても、恐らく、あまりすっきりした夢解きにはならないでしょう。「前日の出来事を整理している夢」と捉えるだけで充分かと思います。 Mさんも「それだけはっきり夢と繋がっているということだと感じられて、何だか心強い気がした」と仰っていました。

みなさんも夢日記をつけることで、自分だけの夢の象徴やパターンを是非みつけてみてください。

歯が抜ける夢

2011年7月分より

Aさん(18歳・女性)

歯が上下ともぼろぼろ抜けて落ちる。全部抜けてしまった。

夢解き

夢を解く際には、一般説をキーワードとして当てはめたり、個人の状態を無視しての断定は避けていただきたいものですが、特に歯がぬける夢はその代表と言えるかもしれません。その意味や暗示は多岐にわたります。

古典的な「夢占い」などでは、歯がぬける夢は親の死を暗示するという説があり、まずこれを思い出す方も多いようです。
しかし、歯は「噛み砕くもの」ですから「現状を飲み込むことが出来ない(受け入れがたい)場合」や、「自分の中で考えや思いを噛み砕き表現するための歯」が失われていますから「コミュニケーショ ンへの不安や問題」を表すこともあります。

又、乳歯が永久歯に生え変わるように「大人になること」や「自立の時 」であったり、セックスへの抵抗、或いは「食べていくために必要な歯」ですから、「自立や自活への一歩やそれらに伴う不安」を意味することもあります。
この意味では「親との別離」の意味もありますが、それが生死に関する別れか、単に現実的物理的な別れか、精神的な別れかは、「歯が抜けた」という場面だけで判断するのは難しいと思います。

又、他にも、歯が抜ける=「しっかりかみこむことで出来ない状態」は、エネルギーの枯渇や、老いへの不安や喪失感を暗示すること場合もあります。よく噛んで栄養を取り込む事が出来ない状態で、これはメンタル面での場合もありますし、実際に体調不良や免疫力の低下、胃腸へのダメージ(咀嚼ができていないと胃が荒れます)などを知らせている場合や、実際に歯に治療が必要な場合などもあります。

ですから、歯が抜ける=「親に不幸があるのかもしれない」等と、闇雲に不安がらずに、まずは今の自分の状況を振り返ってください。

Aさんは、身近な大人にこの夢を 話した所、親の死を意味すると言われ、不安にさせられていました。
しかし彼女は、高校卒業後、就職の為に地元を離れたいと思いながら、親との問題もあり決めかねている状態でした。また、親元を出て行ったからといって、自分がやりたい何かがあるわけでな く、どれが本心か解からず、新天地に行けば、もしかしたら自分が変われるような気がするだけなのかもしれない、とも思っている所でした。

こうなると、上記の様々な象徴が含まれることがお解かりになると思います。「自分の中でよく考えや思いを噛み砕くこと」もできていない状態ですし、当然「大人になること」や「自立の時」ですし、「食べていくため」の経済的なものへの不安もあるでしょう。 今必要なことは、もう一度、自分の思いつきや希望を現実的に検証しなおすことです。

今、これを読んでくださった皆さんは、夢との付き合いが好きでこのページを訪れてくださる方々ですから、 敢てお願いすることでもないと思いますが、もしAさんのように、「不吉」等と、ネガティブな呪詛をかけられるかのように片付けられ、不安な気持にされた方がいたら、「夢解きはそんなに安直なものではないから大丈夫」と、是非、教えてあげてください。 夢に教えられ、感謝することが多い一個人として、未来が広がる夢との付き合い方をしてくださる方々が増えることを願っています。

あやまる夢

2011年6月分より

Tさん(40歳・男性)

空港の滑走路の近くを歩いている。すぐ横にある大きな河川敷で、高校時代の同級生のAに会う。彼はずっと弟を養っているらしい。だらしなくて嫌な奴だと思っていたけれど、そんな生活をしているとは知らなかった。胸が痛んだ。悪かった、と謝る。

夢の背景

Tさんによると、Aさんは昔から周囲に迷惑を掛けたり、手っ取り早く楽をしようとする軽率な人だったそうです。Tさんは彼を見下し、嫌っていたと言います。卒業以来Aさんと付き合いはありませんが、最近Aさんが新しい仕事を始めたらしいと、級友の噂で知りました。 Tさん個人の状態としては、今後の自分の身の振り方を考えている所でした。

夢解き

Tさんの、「これからの自分を考え、新しくなりたい、飛び立ちたい、世界を変えたい」と思う状態が、滑走路や大きな川に現れています。滑走路に沿わず、 空港に入って飛行機に乗れば、新天地につくでしょうし、川を渡った先には新しい発見が待っています。けれどそれができずに、川や滑走路に 沿って歩いて見ているTさんです。

彼が進めない原因の1つは、「勝手な決め付け」や「自分への疑いや罪悪感」或いは「後悔や過去の出来事に縛られているため」かもしれません。

Tさんは、親や弟妹孝行もできず、自分が好きな道で夢を追いかけてきました。しかしこれでいいのか、ということを最近考えています。「いつまでもそんなことをしていていいのか」という現実での罪悪感が「Aさんの弟を養っている話」になって現れてきます。かつてあんなにだらしないと嫌っていたAさんは、実はちゃんと責任を果たしていて、自分はふがいない。Aさんに対してTさんが抱いているイメージは、自分の姿だったのかもしれません。

現実で、Aさんが新しい仕事を始めたと聞いた時も、Tさんは「人はそんなに変わらない、どうせまた人にぶらさがって、ずるい方法で動いているんだろう」と思いました。事実は何も知らないのに「そんなに変われないと」と決め付けているのは「自分が変われない」と決め付けていたからかもしれません。又、どこかで、「もしかしたら今は立派にやっているかもしれないAさん」を、頭から否定した自分の人間の小ささへの自己嫌悪などもあったようです。

そんないろいろな思いが、夢の中でAさんに謝ったことで解消されます。過去の罪を償い、許してもらったような安心が得られ、みそぎを終えたような気持になれます。現実のAさんに対しても、偏見を捨てられるでしょうし、自分に対しても自己卑下をやめて、正直に今後を考えられるでしょう。また、これからは、夢の中の心の痛みの経験により、他の人に対しても、自分に対しても、勝手な決めつけはやめていけることでしょう。

感情の伴う夢

2011年3月分より

夢の中で怒ったり泣いたりしている時、心拍数や血圧もそれと一緒に変化しているそうです。夢の中で怒ったことですっきりできたり、怖い思いをして疲労感と共に目覚めるのはこのためかもしれません。夢の中の感情は、夢の流れの中で違和感がないものなら、そのままの意味になりますが、状況によっては反対の意味になることもあります。夢の全体と、最近の出来事を照らし合わせて考えてみてください。

Wさん(45歳・女性)

職場のデスクにいる。私は一人だったと思う。大声で笑っている。何が楽しいのか、おかしくて、おなかがいたいくらい笑い、息も切れ切れになる感じ。何を笑っているのかは全然解からない。

Kさん(40歳・女性)

私が夫に怒っています。彼の今後のプランを聞いて「おかしいでしょ!何でいまさらそうなるの?ちゃんと毎日やっておかないからでしょ!?」などと、すごい剣幕で怒鳴りちらしています。現実では、夫にこれほど怒る理由は思い当たりません。

夢解き

Wさんの夢は「笑う」行為が、逆の意味を指す場合です。「おかしい」感情は、喜びや楽しさではなく、悲しみの裏返しや自嘲を指すようです。現実でも笑いすぎると、涙が出てくることがあります。夢の中でさえまだ素直に泣けず、悲しみや無力感と直面できないでいるようです。職場なので、そこでの緊張やストレスが原因なのでしょう。

Kさんの、身近な誰かに「怒る」のは、相手からもっと大切にされたい場合が多いものです。けれど、Kさんにはどうもぴんときません。しかし代わりに、最近Kさんが自分の活動に自己嫌悪を感じている事に気づきました。Kさんはご主人と似たもの夫婦とよく言われるそうです。夢の中のご主人は、彼女の分身なのでしょう。Kさんは「ちゃんと毎日やっておかないからでしょ?!」と、自分に怒りたかったようです。

目覚めた時の感情は、夢を考える時の大切なヒントになります。どんな夢でも感情を探る事は基本中の基本です。今回は、夢の中での感情から派生した行動が、突出しているものを取り上げています。

同じ「笑う夢」でも、「穏やかに自然に笑っている」なら夢の中でリラックスをしていることもあります。本当に楽しい毎日なので、夢にまでそれが表れたり、楽しいことを予見していることもあります。逆に、日常が辛いので、夢の中で楽しい思いをして心のバランスを取る働きの夢の場合もあります。

怒る夢も、ただヒステリックで攻撃的とは限りません。現実でも「怒り」はネガティブな感情を片付けられがちですが、行動力に変換できるパワーです。Kさんの場合でも、これだけの爆発的エネルギーがあることが解かれば、現状を打破するためにその力を使うことを考え始めることが大切になります。

地震の夢

2006年8月分より

近頃、世界各地で大きな地震が多発しています。私が暮らす福岡でも2005年は長く余震の緊張にさらされました。けれどその間、身近な所では、地震そのものではなく「違う形の怖い夢」を見る人が目立ちました。「直視が辛い時には直接的な形では表れない」という夢のやさしさの一例に思えました。

Tさん 45歳 男性

仕事を辞め、地方に引っ越す前に見た夢です。近所に住む友人Aとの待ち合わせ場所に向かっている。しかし、すれ違いになったらしい。場面が変わって、私は、Aがいつもの満員電車に乗っているのを、どこかから見ている。すると急にぐらっと大きく揺れた。「地震だ」と解かる。高層ビルが倒れたりしている。「大変だ、どうしたらいい?」と考えている。

Hさん 37歳 女性

このごろあまり会いたくない友人、Kの家にいる(現実の家とは違う)。壁や柱が薄くて、舞台セットのような家。Kはいない。急に、壁が左右にゆさゆさ揺れる。床も揺れて「地震だ」と思う。「家が倒れる」と思ったら壁が私に向かってきた。でも、丁度窓があいていたので、その空間を通り抜けた。私は無事に立っていたが、ベニヤのような壁が私の周りに倒れていた。Kの家はつぶれて、更地になった。

夢解き

Tさんは、間もなく生活基盤が変わります。まさに「立場や、踏みしめている足元が揺らごうとしています。それが「地震」として表れた夢です。今後Tさんは「近所に住む友人」とは住む世界が変わり、同じ電車に乗ることもなくなります。倒れる高層ビル=都会の暮らしを暗示するようです。今までの生活のレールや生活圏から外れることや、一新する生活の不安が「どうしたらいい?」に重なっているのかもしれません。

Hさんの場合は、これまでの価値観や関係性を一掃=「更地」にして、リセットするために夢の中で「地震」が起きました。「Kさんの家」=「Hさんの中のKさんへの思い」です。表面的な付き合いなので「舞台セットのような家」なのでしょう。限界がきたので、基盤が揺らぎ、「家」が崩壊しました。Hさんに怪我はなかったので、付き合い方や態度を改めても心配はいらないでしょう。

地震の夢は変革の最中や、過渡期に表れやすいものです。今までの価値観や意識、感情などを捨てなくてはならない時に、文字通り「揺さぶり」が掛けられ、それが「地震」になります。また、自分で変わっていこうとする時はもちろんですが、自分の意思とは関係なく起こる変化を察知している時にも現れます。

「揺れの大きさ」は、変化の必要性や、新しくなるために必要なエネルギーの大きさと一致することが多いようです。印象に残りやすい夢なので、目覚めて不安になる人も多いようですが、本来は、心機一転、新しい展開が期待できる「大きな変革」=「地殻変動」の夢なので、よい夢に分類されます。柔軟に適応する意思さえあれば、「飛躍の前兆の夢」と歓迎できます。

ただ、別の夢の訪れ方としては、伸ばしたり曲げていた体の一部が、小さく落ちたような場合に地震の夢になることもあるようです。 また、寝ている間に、目覚めるほどではない小さな地震が起きた時に、地震の夢を見ていることもあります。念のため目覚めたら地震情報をチェックしてみるのもよいかもしれません。また、他の出来事に比べて、夢で地震を予知する人は割と多いようです。動物たちが磁場の変化等を察知して早くから脱出するように、睡眠中の無意識は活発で、それらを感じ取れるのかもしれません。

遅刻の夢

2006年7月他誌寄稿分より

遅刻の夢は、日ごろから遅れない人や、きちんと備える人に多く見受けられます。むしろ「遅れる夢で起きたら、寝坊していた」というケースは少ないと思います。実際に「遅刻だ!」と飛び起き、本当に遅れていたら、夢を記憶しているどころではないので忘れているのかもしれませんが。

Iさん(67歳・男性・無職)の夢

すでに退職し、今は趣味に熱中していますが、時々、現役時代の自分が遅刻をする夢を見ます。
仕事先に向かいますが、電車を間違えたり、忘れ物を取りに戻ったり、なかなか着きません。かつての大変だったプロジェクトをまだ片付けていて、それに遅れる夢だったこともあります。目覚めた時には「夢でよかった。今は時間に追われなくなって幸せ」としみじみかみしめます。

Oさん(40歳・女性・司会業)の夢

大きな仕事を引き受けた時に見た夢です。
仕事の現場に向かっている。時計を見ると、開始時間まであと10分になっている。絶対に間に合わない。近道したり、電話で連絡しようとするが、道には迷うし電話も繋がらない。おまけに普段着なので、これでは仕事に行けない。時計を見ると、ついに開始の時間は過ぎていた。私は結構パニック状態。

夢解き

Iさんには「やりたい事に熱中できる時間は、どれくらい残されているのか」という不安があるようです。今を生きることに意欲的なだけに、「もっと若ければ、こうできたのに」という思いもあるのかもしれません。「衰え」や「死」というゴールに「間に合いたくない」、堂々巡りできつくても、「現役時代のように動き続けられる自分のままでいたい」という思いが「遅刻」として現れています。

また、苦しかった時を追体験するのは「今は当時とは違う」と確認するためです。「今」への感謝の気持ちを繰り返し実感することで、少しずつ人生への納得度合いを深め、新しいペースを作っている最中なのかもしれません。

一方、Oさんの「大切な仕事」は、まずは「遅刻厳禁」です。もちろん「ちゃんとやり遂げなくてはならない」のですが、初めての大きな仕事で、不安で一杯です。「道には迷うし」=実力不足から、取り残される心配もあったのかもしれません。

気にしている「時計」や「時刻」は、正確に刻むもの=「完璧主義」の意味もあり、自分へ要求の高さからの緊張もありそうです。 ただ、この焦りや不安を夢で体感したことで、冷静さを取り戻せました。自分の心の状態を把握させることがこの夢の仕事だったようです。

追われる夢の回で「自分が追いたいものに追われることがある」とご紹介しましたが、「遅れる夢」にも似たところがあります。夢では「たどり着こうと必死」でも、実は「行きたくないのが本音」という場合です。現実ではあまり意識されていなくても、無意識では「出来れば避けたいこと」があるのかもしれません。

でも、夢で遅れたからといって「現実の課題や問題が失敗するのではないか」と心配する必要はありません。「やりたいのだけれど、腰が引ける」ということもあるでしょう。しかし、もう一人のアナタが「自信をもって、すぐにできることから準備を始めて!」と依頼をしていると、とらえてみてください。

トイレの夢

2006年7月他誌寄稿分より

琉球のトイレには、フールヌカミと呼ばれる神様がいます。外でついたよくないものを取り除いてくれたり、なくし物をさがしてくれるそうです。夢の中のトイレも、無意識に取り込んだ物を整理し、心身両面の大切なものを取り戻す仕事をしてくれます。トイレは、いつもきれいにしておきたいですね。

Mさん(37歳・女性)の夢

たくさん個室が並ぶ外出先のトイレ。満員ではなさそうだが、なかなか入れない。やっと入ったが、中はとても汚い。さらに便器から水や汚い何かが溢れてくる。気持ちが悪いので、用を足さずに出た。

Yさん(46歳・女性)の夢

実家のトイレ(戸外)に行きます。母屋を出て廊下を通りトイレに入ります。便器に座ると、得体の知れない何かが入って来ます。それが怖くてすぐに部屋に戻ります。現実でも子供時時代は、特に夜のトイレが怖く、今でも、トイレにゆっくり入るのは苦手です。

夢解き

Mさんの夢では、舞台が「公的なトイレ」なので「外での出来事や対人関係」に、すっきりさせたいことがあるようです。「たくさんの個室」なのに「入れない」のは、本心では、まだ1人になり「自分と向き合いたくない」か、または「問題を人のせいにしていたかった」のかもしれません。中に入ってみても「汚い」ので、やはり自分と対峙する準備はできていなかったようです。

溢れてきた水は、Mさんの感情の「逆流」のようなものでしょう。便器は、自分の体を意味する場合もあり、自分から出てくる、感情や欲求、或いは自己理想像とは遠い姿を「気持ちが悪い」と否定したり、ありのままを認めたくなかったのかもしれません。

Yさんは、既に実家を出ています。そこで当時をよく振り返ってもらいました。するとトイレより、廊下の途中にある両親の部屋を避けたかったことや、親が争う声がトイレに伝わってくるのが嫌だったことを思い出しました。これが「どこからともなく入ってくる怖いもの」だったようです。

トイレには、プライバシーやリラックスの意味もあります。いまだに夢に現れるのは、当時の緊張が現在にも影響しているからでしょう。「ゆっくりトイレにいられず」=「リラックスして、トイレで捨ててよい感情を上手に処理できず」「すぐに自分の部屋に帰る」=「自分の殻に閉じこもったり、溜め込みすぎる」のが、Yさんの課題なのかもしれません。

トイレの夢では、基本的に「きれいなトイレで用をたして、すっきりした」という印象があると、現実にもコンディションがよかったり、物事がうまく運ぶ場合が多いようです。夢主の「心の浄化処理場」ともいえるトイレが「きれい」=「きちんと機能している状態」であれば、ストレスは流され、心身ともに健全でいられる、と云うことなのかもしれません。

逆に汚いトイレは、感情や不要になった考えやストレスが整理できずにいる状態を表します。また詰まったトイレや、トイレで排泄を拒むのは、固執や執着を表すことが多いようです。しかし、古典的な夢占いでは、排泄物そのものが金銭を意味し、トイレに溢れているのは思わぬ金運の到来という説もあり、どう受け取るかは夢主次第です。

また「プライバシー」や「個性」の意味もあり、「トイレに行けなかったり、入っても落ち着けずにすぐ出てしまう」なら、リラックスできない日常や、自己表現が上手くできない状態を表す場合もあります。 ただし、「用を足せた」としても、それがトイレ以外の場所なら、自分で処理しなければならない感情等を、お門違いな所でまき散らしている心配があります。

ただ、ここでも例外があるように思うのは、男女差です。 私が伺ってきた夢の中では、トイレが登場する割合は、どちらかというと女性の方が多いようです。男性の小便器は個室ではなくオープンなので、心理的位置付けが違うのかもしれません。トイレ以外の場所で用をたした経験を持つ男性も多いので、象徴というより、尿意からの夢が目立つように思います。ともあれ、生理や本能が関わる場所なので、性差はもちろん、各人の習慣を考慮しながらたどりたい象徴です。

探す夢

2006年7月他誌寄稿分より

映画「風と共に去りぬ」のヒロイン・スカーレットは、「霧の中で、何かを探してさまよう夢」を繰り返し見ます。うなされて目覚める彼女を、夫レットが抱きしめて言います。「お前が幸せになってくれればそんな夢は見なくなる。俺が幸せにする。」彼女は「探していた何か」を、映画の最後でやっと確認します。私事ですが、ずいぶん昔に見たきりで、物語はうろ覚えなのに、何とも遣る瀬ない、この夢の顛末だけが鮮明に残っています。夢の中での探し物は、早く見つけておきたいものです。

Aさん(37歳・男性)の夢

中学時代から、今も時々見る夢です。何か大事なものを必死になって探している夢です。ゴミ集積所の様な場所でひどくあせりながら、ゴミをかき分けて探していたこともあります。何を探していたのか、具体的なものは思い出せません。しかし、とても重要なものである、という意識は夢の間中感じています。大抵の場合、探し続けて夢は終わります。

Kさん(41歳・女性)の夢

職場の皆と宴会に出席している。お座敷だったようで、帰る時に、皆は靴をはいている。私の靴だけがなくて探し回る。見つからずに眼が覚めた。

夢解き

Aさんはこの夢を、学生時代には試験や宿題に追いつめられた時、最近では仕事がハードな時に見たそうです。試験前や宿題が山積みの時なら「解答」を必死に探し、仕事がハードな時なら「任務完遂の手立て」を探していたのかもしれません。

しかし少し気になるのは、ゴミの中を探していた時です。ゴミは「不要なもの」、そして、夢の中の光景は「夢主の内面世界そのもの」なので、「してきたことや、自身の能力は役に立たないことばかり」と、自信が持てずにいたのかもしれません。 けれど、世間的には「ゴミ」でも、常識に縛られない「夢の島」にはとんでもない宝の元が眠っている事があります。大きな発明や発見は、えてして非常識な発想から生まれます。周囲から「ゴミ」として片付けられ、Aさんも同調して捨てた考えの中に「とても重要なものがある」と感じていたのかもしれません。

いずれにしても、客観的に「今あるもの・ないもの・今後必要なもの・本当の目的や希望」等をリストアップして、大掃除が済めば「探しもの」は見つかることでしょう。

一方Kさんは、はっきり「靴」を探しています。靴には「社会的立場」の意味があります。目覚めたKさんはすぐに「久しぶりだ」と思ったそうです。10年程前、長年勤めた会社を辞め、その後の身のふり方を悩んだ頃に、靴を探す夢が続いた経験があったからです。

当時は、仕事の可能性も探りたい、実家からの独立も考えたい、「自分にふさわしい靴」=「地位や役割」は何だろうと探している頃でした。そして今回は、従事していたプロジェクトの人間関係を発端に、会社の方針に落胆と不信を、又、自分の能力への不安も感じた時でした。かつてのKさんは自分の居場所を探し、今のKさんは「私の靴だけない」=「私だけが評価されていない」という気持ちだったようです。

しかしKさんは、以前の夢以来の「頑張った自分」を思い出して「進みたい道なら、靴がなくとも裸足でも歩いてみよう」と決めました。10年前は「靴」を求めて新天地を目指した彼女でしたが、今回は自身の足で立つことを選択しました。そしてその甲斐があってか、その後状況は好転、むしろ以前よりよい「靴」を手にしたようです。

予知夢

他誌寄稿2006年5月

夢は、貴方から貴方へのメッセージです。もう一人の貴方は、映像や印象として、毎晩それを送り続けてくれます。もう一人の貴方は、現実の貴方よりもっとたくさんのことを知っているようです。目覚めている時の貴方には思いもよらない未来が、後に遭遇する場面とそっくりの姿で送られてくる、それが予知夢と呼ばれる夢です。

Yさん(40歳・女性)の夢

高校時代の夢。「学期途中に、新しい先生が来るいう夢を見た。1ヶ月後、担任が休養、非常勤の先生が来た」「数学のテストを受けた夢をみた。次のテストに同じ問題が出たので解けた」

Aさん(30歳・男性)の夢

「いつものように自転車で通勤する。角を曲がった所で車とぶつかり事故を起した。1週間後、夢と同じ角を曲がると、対向車線で、別の自転車と車が事故を起した場面に出くわした。」

夢解き

20歳頃までは時々予知夢を見たという人は、結構いらっしゃいます。若い頃は行動範囲もまだ狭く、些細な外界の刺激でも、大変な問題のように感じます。そのため「もう一人の自分」の情報収集量も常に多い時期なのかもしれません。更に「私は何者か」を探す頃でもあり、「現実の私自身」も「もう一人の自分」との接触に積極的な時代だからかもしれません。

例えば、多感だったYさんは、意識をしないまま、担任の顔色や動作から体調不良を感じていたのかもしれません。又、「この問題は出す」という雰囲気の先生を、視界に隅に収めていたのかもしれません。もしそうなら、この情報を送ってくれるのが「もう一人の自分」です。これは潜在知覚夢(=潜在的に知覚していた情報により、未来を推測した夢)と呼ばれていますが、本当の仕組みは謎です。

2本目は結末が違う予知夢です。実は、Aさんは、いつもぎりぎりに家を出ては、自転車を飛ばしていました。けれどこの夢以降、早めに出かけ、気をつけて通勤しました。そんな中、遭遇したのが、夢と似た他人の事故でした。Aさんは、夢のメッセージを大切にしたお陰で、自分の事故は回避出来たのかもしれません。自らで予知夢を外したとも云えます。でも「通勤時のその角での事故」は起こりました。

Yさんの夢以上に「潜在知覚夢」なのか「警告夢」(=現在の行動パターンから推測できる危険に注意を促す夢)だったのか、それとも全く違う「不思議な力が存在する夢」なのかは決めにくい夢です。けれど夢は元々曖昧で、理不尽なものです。夢のやり方に習ってみるのも現代には必要な気がします。Aさんの夢も、名称は何であれ、彼は無事だったのです。夢も喜んでくれたことでしょう。

「予知夢」は、実は特別なものではありません。夢に興味を持つとそれだけで「もう一人の自分」は活発になり、はっきりしたメッセージをたくさん送ってくれるようになります。貴方が付き合いに慣れると、頻度の差はあれ、予知夢は混じってきます。ただし、いつも劇的な内容とは限りません。受け取る貴方の準備が整っているなら、必要な時に、必要な姿で表れますから、中には大きなことも含まれてくるかもしれません。それに、夢そのものより、自分を信頼する気持ちを思い出す必要がある時に、小さな予知夢が訪れることもあるようです。

しかしいずれにしても、夢はすぐ翌日に現実になるとは限りませんから、その時まで覚えておく必要があります。夢は、文字という現実世界の記号で起すと忘れにくいようです。予知夢を体験してみたい方は、まず夢日記で、もう一人の自分と親しくなりましょう。

落下する夢

他誌寄稿2006年5月

夢の中の感情は、目覚めても現実に持ち越されます。「何だ、夢か」とがっかりしたり「夢でよかった」とほっとしたりして目覚めた経験は皆さんお持ちでしょう。日常では理屈や合理主義で処理してしまった感情や、見てみぬふりの状況に目を向けてもらいたくて、夢は様々なアプローチをしかけます。落ちる夢はそのうちの一つです。

Fさん(35歳・男性)の夢

道を歩いている。少し脇を歩いてみると、そこにあったどぶ(側溝)に落ちる。はまっただけかと思ったら、底がなくてすごい速さで落下する。周りは暗く、落ちているのか止まっているかも解からなくなり、怖さで起き上がって眼が覚めた。

Hさん(39歳・女性)の夢

高いビルの屋上にいる。スーツ姿の女性たちが隣のビルに続く細い板を渡って行く。私も急かされて進んだが、足の踏み場を迷い、踏み外して落ちた。うつぶせに寝る形で落下した。でもすぐに、夢だから飛べばいいと思い出した。地面が迫る直前で成功し、低空飛行をしてから着地した。

夢解き

Fさんはこの頃、新しい仕事に挑戦していました。生活も不安定、周りに迷惑も掛け、次第に、本当にしたいことかさえも解からなくなっていました。道(=人生の本道)から、ちょっと脇を歩いたら(=仕事を変えたら)、側溝に足を踏み外して落下した(=人生の転落と深い闇に落ちてしまった)。夢の通り、進んでいるのか後退なのかもわからない、取り返しがつかない事態ではないかという恐怖が形になった夢です。

Fさんは現状に不安を持っていましたが、引き返すのは恥ずかしいことだと虚勢を張り、現実や本当の感情から目をそらして走り続けていました。 しかし、体感させられた目覚める前の「恐怖」はぬぐいようがありません。 誰が強要したわけでもない、自分が生み出したそれを、この期に及んで無視することは難しいものです。そのため、「立ち止まって、直面して!」というメッセージの夢に、感情はつきものです。Fさんもやっと直面する気になりました。その後、むしろ現実に触れたお陰で、具体的対応策に気づき、仕事は起動にのりました。

Hさんの夢は、落下だけでなく「飛ぶ」や「夢のコントロール」の意味が加わりますが、詳細はまた別に譲るとして、Hさんは意思を使い、夢の途中で恐怖を克服しました。夢の頃、Hさんは職場の組織再編の只中にいました。スーツの女性たちは同僚であり、自分の理想像だったのかもしれません。

彼女たちは、別の高いビル=別のハイレベルな仕事、に移っていきます。けれどHさんには決心がつきません。現実でも同じく、皆に習って新しい場所へ渡ろうとしましたが、本当は新しい仕事に自信がなく、昇進できても荷が重く、かえってボロが出るかもと不安だったそうです。

夢は本心を確認させてくれたと同時に、落ちた所までを疑似体験させてくれました。「落ちたらまた飛べばいい」それがHさんの結論でした。更に、「ビルの屋上=頭で考えるだけの状態より、着地した=地に足をつけて体感してみよう」という、気持ちに切り替わり、すっきりしたそうです。

落ちる夢を見た時は、まず、無理をしていないかを振り返ってみるとよいでしょう。特に、Fさんのように、がばっと起き上がって目を覚ましたり、叫びながら目覚めるような時は、「起きた貴方が続きを考えなさい」というメッセージの場合が多いようです。近頃の現実での出来事とも照らし合わせて考えてみてください。

又、余談ですが、もしFさんが女性問題で悩んでいたら、夢の意味は変わってきます。「溝」や「深い穴」には女性の意味もあるので、「彼女との関係に呑み込まれて自分を失うことを恐れている夢」だったかもしれません。自分で夢を考える時には、夢辞典の意味を切り張りにあてはめずに「自分にとってしっくりくる感じ」を大切に探ってみてください。

追われる夢

他誌寄稿2006年5月

「追われる夢」は目覚めが悪いものです。しかし「幽霊の正体見たり枯れ尾花」もし繰り返し見るなら、次回は逃げるのをやめてみましょう。そう思って眠るだけで、不思議と夢の中身が変わります。貴方の覚悟に、夢も応えてくれます。

Nさん(40歳・男性)の夢

幼稚園から小学校低学年頃まで何度も見た夢です。場面はその都度違いますが、いつも雪女が追いかけてきて、僕は走って逃げます。でも体は思うように動かずなかなか進めません。怖くて、はっと眼が覚めます。いつも汗をびっしょりかいていました。

Tさん(37歳・男性)

何者かに追われ、追い詰められる夢です。最初は電車の中にいます。そこから怪物のような何かが迫ってきて、いつの間にか舞台は変わって気がつくと断崖絶壁に追い詰められています。なぜ追われるのか、なにが追ってくるのか、明確にはわかりません。夢は大抵、追い詰められたところで終わります。

夢解き

子供の頃は、怖い夢をたくさん見ます。毎日初めてのことだらけで、昼間未消化だった思いを夢の中で発散し、整理するからだそうです。又、寝ている間も肉体は成長します。その違和感や、大人になる恐れが夢になる事もあるようです。又、夢で逃げるのは親からの自立の意味もあり、子供時代の悪夢は、それほど心配いりません。

ただNさんの場合は当時、家庭内が複雑でした。親達の事情により緊張が多い上に、何事もゆっくりだったNさんは「早くしなさい!」と母から叱責され=雪女の「冷たい息」をかけられ、「凍りついて」いたそうです。いつも冷や汗をかいた幼いNくんは、眠りながら本当の汗をかきました。お母さんもきっと一生懸命だったのでしょうが、雪女=「怖い母性」であり、Nさんはこの夢さえ話せませんでした。

Tさんの夢は「社会というレールの上を走る電車」からはじまります。もしTさんが、締め切りやノルマに追われていたなら、それが迫り、道がない=「時間がない、早く!」という夢にも取れます。しかし思い当たる節がないなら「正体が知れないのもの」=Tさんがはっきり認識できずにいる心の闇か、「認めてはいけない」と「拒否し続けている思い」が追ってくる夢でしょう。

例えば「組織や世間に沿うのが善」と決めていると、「独自性を発揮したい」という思いが沸いても、「自分には許してはいけないこと=悪」と退けて、現状を守ろうとすることがあります。時々「電車から降りて、自由に歩くのもいい」という「間の選択」が出来れば、「思い」は怪物にまではなりません。しかし現実で葛藤から逃げると、その分、夢では抑圧された思いの方が追いかけてきます。

崖の先に道はなく、今まで通りには進めません。自分の影の正体を確かめて対決するか、飛び降りて0から始めるか、どちらかです。結末がないまま目を覚ますのは「起きて考えて!」というメッセージです。 Tさんのような夢は、責任感が強すぎたり、感情を切り捨てやすい人、変化を恐れる時等に現れやすいようです。少し肩の力を抜き、自分を見直したい時ですから、身近な人に夢を話せるといいでしょう。聞く側も解釈より「それは怖かったね」と共感できれば充分です。

マレーシアの先住民族セノイは、毎朝、家族で前夜の夢を話し合うそうです。子供でも口下手な人でも、夢は雄弁です。日本では忙しい朝でしょうが、自由な気持ちで夢を語って、大切な人との理解や絆が深める時間が持てれば素敵なことだと思います。